説明
<スチールパンによる新感覚音楽>
近年、ISEA2004、MaerzMusikフェスティバル参加と活動の幅を広げてきた、町田良夫の四作目は、スチールパンによるフル・アコースティック・アルバム。カリブ海の西インド諸島南部、トリニダート&トバコで生まれた、この不思議な音色の楽器は、ラテン系音楽やカバー曲集で耳にすることが多い。しかし、このアルバムは、まったく異なる、彼独自の視点から作られている。フィールド・レコーディングをベースとした彼の音響コラージュ作品の中で使用されていた銅鑼(ゴング)からスチールパンに至ったその過程からもわかるように、その曲調は、アンビエント、ミニマル・ミュージック、または彼が即興演奏のヒントとしたインド伝統音楽に近い。同じミニマリズムでも、フーガに代表されるシステマティックな西洋音楽、ガムランやアフリカの民族音楽、アルボ・ペルトが提唱したティンティナブリや70年代以降のミニマリズムとも異なるおもむきのこの作品では、オーバーダビングされたミニマルな即興フレーズが、ディレイ効果とも、風に吹かれて鳴るベルとも言えるような独特の効果を醸し出している。また、ミニマリズムの金字塔、エリック・サティのVexationsのメロディーにインスパイアされた曲や、不思議な倍音が混ざり合うスティールパンのロール奏法だけで組み立てられた曲なども収録。前作の『インフィニット・フラワーズ』同様、花をテーマに、スチールパンの透明感ある響きが瞑想的で、リラックスした音響作品に仕上がっている。
曲目
1. Lotus part1 – 3 (ロータス)
2. Texas Vino(テキサス・ヴィーノ)- Inspired by Vexations, Erik Satie
3. Bloom(開花)
4. Dew(しずく)
5. Lotus Solo(ロータス・ソロ)