説明
久遠の鐘プロジェクト
2011 年3 月の「東日本大震災」と、6月の奥州平泉の「ユネスコ世界文化遺産登録」を受け、芸術による“ 東北の復興” “ 世界のエールへの返礼” の旗を掲げようと、世界遺産の地で7・8・9月の三回に渡って開催された文化プロジェクト。
「バスキングジャパン」が企画、平泉町・岩手県等の協力のもと開催された。
“ 久遠の鐘” とは、焦土であった平泉を復興させ、奥州に高度な文化都市を作った
初代・藤原清衡公の宣言文「中尊寺供養願文」の一節に重ねられたフレーズ。
荒廃を乗り越え、全ての魂を救済するという“ 千界に響き渡る鐘の音”。この清衡公の祈りの結晶を、久遠の時を超え、世界に共鳴させようというのが「久遠の鐘プロジェクト」である。
曲目
1.達谷窟毘沙門堂:よしうらけんじ
2.山の神 ~相澤史郎詩集『血の冬』より~:相澤史郎
3.地吹雪の丘:太田光宏
4.秋霖:オオフジツボ
5.蒼色のしじま:笛 織 絵 FEOE
6.金鶏山落日賦:Mark Akixa
7.Ancestor’s Heart Beat:よしうらけんじ
8.鐘聲:Mark Akixa
9.まほろば:坂上真清
10.Peaceful People:Mark Akixa
11.平泉セット:オオフジツボ
12.空とそら:笛 織 絵 FEOE
13.hope:オオフジツボ
14.3月の鐘:笛 織 絵 FEOE
BUSKING JAPANより
このアルバムは、東北の歴史を時系列的に喚起できるよう構成されています。
全体は大きく二部に分けられます。
第一部は、
1曲目「達谷窟毘沙門堂」から7曲目「Ancestor’s Heart Beat」まで。
東北の古代・自然・本能、たび重なる侵略と悪路王の首、自由の民、激情、ひとり焦土に佇む清衡、謂わば歴史の舞台に躍り出る以前の“原・平泉”とでも言える世界。
第二部は、8曲目「鐘聲」から14曲目「3月の鐘」まで。
供養願文の祈りのもと東アジア屈指の平和都市を作り、やがて義経という英雄を輩出しながら歴史の渦に飲まれ、その哀惜は伝説となり 歌に詠まれる。そして21世紀の激動と未来への小さな希望。
もちろん個々の楽曲は元々そのような意味を込めて作られた作品群ではありませんので、純粋にサウンドとしてお聴きいただいて結構です。
もし歴史好きな方は、このアルバムからどんな大河ドラマがイメージ出来るか、
謎解きのようにもお楽しみください。
(Masayuki Toda)
笛 織 絵 FEOE
https://masumi-harp.raindrop.jp/profile/feoe/
オリジナル曲とアイリッシュ音楽を演奏するケルティック・アンサンブル。
2010年18世紀アイルランドの吟遊詩人オキャロランの曲を演奏する目的で結成。ヨーロッパ伝統音楽の香りと日本的抒情性のあるオリジナル曲やアイルランドのダンスチューンなども演奏して今に至る。
ユニットの名前はそれぞれ 笛・ホイッスル 織・ハープ 絵・フィドルと言う意味合いを持つ。
坂上真清 Masumi Sakaue
https://masumi-harp.raindrop.jp
ケルトの伝統的スタイルである金属弦を張ったケルティックハープ奏者、作曲家。アコースティックユニット「笛 織 絵」「ハンドリオン」などでヨーロッパ伝統音楽や日本的抒情性を感じさせるオリジナル曲を中心に、アイルランド吟遊詩人オキャロランの作品などのアイリッシュ音楽の演奏を行う。ライブではブズーキ奏者としても活動中。作品集:CD「クラルサッハ」「オキャロランの世界」「ムジカ ハンドリオン」ほか。
Mark Akixa マーク アキクサ
https://www.markakixa.com
ネイティブアメリカンフルート奏者。
3才からクラシックピアノを始め、その後フルートや篠笛を経て、北アリゾナ大学にて北米先住民の文化・歴史を学び、2000年よりネイティブアメリカンフルート奏者となる。先住民の民話やその深い精神性をテーマにした物語性の強い、「言葉なきストーリーテリング」ともいうべき独自の演奏方法が高く評価される。現在は活動拠点を日本に移し、さまざまなアーティストとコラボレーションを行ないながら演奏活動を続けている。作品集:CD 「All My Relations」「Amazing Grace」ほか。
オオフジツボ oofujitsubo
https://tsuboy.internet.ne.jp/oftb/
風を切る哀愁 空駆ける抒情 ー アイリッシュからオリジナルまで、自由に境界を行き来するトリオバンド。「奏破する」ヴァイオリニスト・壷井彰久(KBB/ERA)、「うたものギタリスト」太田光宏、「情景を奏でる」アコーディオニスト・藤野由佳(蛇腹姉妹)によるアンサンブル。2005年結成。作品集:CD「空の鼓動」「夢のあと」
太田光宏 Mitsuhiro Ohta
https://homepage3.nifty.com/m_ohta/
「うたものギタリスト」。1990年、フォーク/ニューミュージックの歌伴としてプロ活動をスタート。その後、ブラック・コンテンポラリーの影響を大きく受けつつ、歌伴に特化する形で数々のセッションに参加。比較的地味なプレイながら、必ず歌を引き立てるフレージングと卓越したタイム感には定評があり、多くのレコーディングクレジットで太田の名前を見ることが出来る。一方、楽曲制作においては、生楽器、
特に生弦を大切にする制作スタイルに定評があり、ジャンルを越えて様々な分野で活躍している。
よしうらけんじ Kenji Yoshiura
https://www.kenjifrog.com
パーカッショニスト。15歳でドラムとクラシックパーカッションを始める。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業後、1996年に渡米。
バークリー音楽大学のパーカッション科に入学。E.ワイナイナのアフリカ・ケニヤツアー参加。1999年米国内にてソロアルバム「Elephant Dance」を発表。2001年には日本文化交流基金のサポートで英国、ラトビアにおいて海外演奏を行う。今回は本作品のために石川智久氏とのコラボレーションを実現させた。作品集:CD「Frog a go-go」「Modern Living」
バスキングジャパン BUSKING JAPAN
“都市と芸術の邂逅”をテーマに、キュレーター戸田昌征を中心に2007年発足。「バスキング」というアーティストの自発性・直接性を根拠とするスタイルで、東京の吉祥寺、原宿、二子玉川などで継続的に活動。2011年、震災をきっかけに“歴史と芸術の邂逅”にコンセプトを広げ活動する。
2011~2012年、岩手県、平泉町の協力のもと数度に渡って世界遺産史跡にて「久遠の鐘プロジェクト」を開催。
1.達谷窟毘沙門堂(たっこくのいわやびしゃもんどう):よしうらけんじ×石川智久
いつの時代においても人間は強大な自然と共存し制圧せんと挑み続けて来た。達谷窟は自然と人間の境界線であり、非常に激しく両者の力がぶつかり合った痕跡”なのかもしれない。(Kenji Yosiura)”