岡淳トリオ
NANANA

¥3,300 (税込)

発売日:2023 年9月3日

商品コード: MH-1125 カテゴリー:

説明

サックス奏者、岡 淳が率いるトリオによる岩手県の築 65 年の家で行われた「その場所でしか起こりえない」演奏を収めた一枚!

【収録曲】
01 Sweet Touch
02 Only One
03 NANANA
04 The Shades
05 Bird’s Words
06 Tilted Tick-Tack
07 A Tree Stump
08 Brownian Motion

【メンバー】
岡 淳 (テナー・サックス)
古木佳祐(ベース)
中村海斗(ドラムス)
録音場所: 音楽水車工房(岩手県一関市)2023年10月6、7日

【ライナーノート】
このアルバムは岩手県の山間に私が「音楽水車プロジェクト」のために借りている築 65 年の家で録音しました。
通常レコーディングスタジオというのは防音設備が整っていますが、あれは演奏の音が外に漏れないためではなく、外の音が入ってこないためなんです。静かな曲を録音しているときに外を通るトラックの音が入ってきてしまったら困りますからね。でもそれって考えてみればどこで録っても同じ音、東京で録っても岩手で録ってもニューヨークでもパリでも変わらないってことで、よくよく考えるとつまんないんじゃないかと思うわけです。ここ10年来の僕自身のテーマに「サイトスペシフィック(site-specific)」というのがあって、それは芸術において「特定の場所でその場所の特性を活かす」ということ、つまり「その場所でしか起こりえないこと」を表現するということなんだけど、外界の音を遮断したスタジオの録音っていうのは全くその逆の考え方なんですね。それじゃあつまらない、どこで録っても同じじゃなくて、その場所でしか起こりえない音を録ったらいいんじゃないか、ということであえてこの家でレコーディングすることを選びました。とはいえ録音をおこなったのはもともとタバコの葉の乾燥場だった小屋で屋根と壁は波板トタンなので遮音性はゼロで、外の音が中にダダ漏れです。レコーディングの常識から考えるとこれはリスクでしかありません。そして、恐れていた事態が起こってしまいました。レコーディング二日目は朝から大雨、トタン屋根に打ちつけるザーッという雨音が半端ありません。一瞬途方にくれましたが、そもそもは自分で敢えて選んだことですから「雨音の鳴り響くところでは雨あればこその演奏になるのだ」と開き直ることに。というわけで 2 日目に録音した曲には「ザー」という雨音が入っています。これは「ノイズ」ではありません。岩手の山間で天から頂いた「お湿り」です。曲リストには雨マークを入れてあります。
ベーシストの古木佳祐君とは奥平真吾バンドで長いこと共演していました。コード楽器の無いトリオ編成ということで、ベース1本で和声を表現できるベーシストと考えた時真っ先に浮かんだのが彼でした。ドラマーの中村海斗君とは実はこのレコーディングまで共演の機会がなかったのですが、彼が中学生の頃何度かライブを聴きに来てくれていて、僕の「パンチパーマちりちり」という曲で僕の求めに応じて「ちりちりちり♪」と唱和してくれたりしていました。その後「若いドラムですごい奴がいる」という噂を聞いた時「あの時の少年か」となって、その後会う機会があった時になんというか直感的に「一緒にやりたい」と思ったんです。二人は予想通りをさらに越えて素晴らしい演奏をしてくれました。
2日間にわたる録音はその古くて素敵な家で 3 人が寝食を共にしながらのいわば合宿レコーディングでした。夜は掘りコタツを囲んで飲んでという具合でした。そういうことで生まれた 3 人の空気みたいなことも作用して、まさにあの時あの場でしか生まれない音になったと思います。

レーベル

MOCK HILL RECORDS