説明
きゃめる、tipsipuca、ノルカルTOKYOなどで活躍するフィドル奏者”酒井絵美”がノルウェーの民族楽器であるハーディングフェーレの伝統曲を取り上げたアルバムが完成。楽譜と解説、さらにハーディングフェーレに関する情報をまとめた22ページのブックレット付き!
ハーディングフェーレに魅せられノルウェーに通うようになって5年、日本の方にこの楽器の魅力を伝えたい、そして自分でも弾いてみたいと思った方の道標になればと思い、大好きな伝統曲を9つ選びました。 22ページのブックレットには、9曲すべての楽譜と解説、ハーディングフェーレに関する情報をまとめました。ハーディングフェーレやフィドル以外にも、様々な楽器で演奏したり歌ったり、ノルウェー音楽の入門集としてお使いいただけたら嬉しいです。 (酒井 絵美)
■曲目
1. フルドレスロット I & II(妖精に誘われて)
2. ファーニトゥッレン(悪魔のフィドル弾き)
3. リークフェルドスロット(葬送曲)
4. ランメスロット ∞(囚われの世界)
5. ローヴェン(伝説のきつね)
6. ブルーレスロット / ヴェトラ・イェント・ミ(結婚式にて / 私の小さな女の子)
Hardingfele and Arrange 酒井 絵美
Sound Engineer idehof gorey records
Design and Layout 本多 桃佳
Photography 駒米 愛子
■酒井絵美 / emy sakai プロフィール
ハーディングフェーレ / フィドル / ヴァイオリン / ヴィオラ奏者、音楽民族学者。
東京藝術大学音楽学部楽理科卒、同大学大学院音楽研究科音楽文化学専攻(音楽民族学)修了。
レバノンにてアラブ音楽理論とアラブ・ヴァイオリン奏法を学ぶ。現在はノルウェーに定期的に滞在し、ハーディングフェーレ国際マスタークラスに参加、演奏会や国営テレビNRKに出演するなど、地域を広げてフィドル奏法の研究・演奏を行っている。参加ユニットはノルカルTOKYO(ノルウェー音楽)、3Tolker(北欧の音楽)、きゃめる(アイルランド音楽)、ティプシプーカ(同)、ムシカ・アラビーヤ(アラブ音楽)、Voice of the Nile Club(同)、5años(ベネズエラ音楽)など。近年は、明星 / akeboshi サポートや、ゲーム・CM・映画音楽のレコーディングも多数手がけている。
■ハーディングフェーレについて
ハーディングフェーレは「ハルダンゲル地方のフィドル」を意味し、ノルウェーの主に南西部で使われてきました。ヴァイオリンとよく似た形をしていますが、演奏弦4本の下に共鳴弦が4~5本張ってあり、ブリッジは平たく重音を多用します。楽器のヘッドにはドラゴン(あるいはライオン)が彫刻され、ボディにはロージングと呼ばれる花柄のような模様が黒いインクで描かれ、テールピースや指板には真珠母や骨材が埋め込まれています。ふんわりと広がる透き通った音が特徴の、見た目にも美しい楽器です。
現存する最古の楽器は、1651年 Ole Jonsen Jaastad 作(ベルゲン大学博物館所蔵)ですが、洗練された容姿であること、ハーディングフェーレを入れていたと思われるより古い年号が描かれたケースが存在することから、それ以前から作られていたと推測されます。初期の楽器は、現在のヴァイオリン型よりボディに厚みがあり横幅はほっそりとしていて、共鳴弦の本数も2~6本と様々。弓も現在はモダン・ボウが主流ですが、バロック・ボウが使われていました。
チューニングの方法は20種類以上あり、ノーマルチューニングは A-D-A-E [a, f#, e, d, (b)](実音は長2度上)です。現地の奏者は、演奏会のためにハーディングフェーレを何本も持ち歩きます。
ハーディングフェーレが使われない地域ではフィドル (vanlig fele)、つまり普通のヴァイオリンが演奏されてきました。今日では両方演奏する奏者もいますが、フィドルを習った先にハーディングフェーレがあるわけではなく、フィドルをほぼ演奏したことのないハーディングフェーレ奏者もたくさんいます。