松田美緒 土取利行
玉依御前のうた

¥1,100 (税込)

発売日:2023年11月26日

商品コード: RG-22 カテゴリー: ,

説明

空海生誕1250年記念・空海の母玉依御前に捧げられたうた

空海・弘法大師の生誕1250年を祝し全国各地の寺院で記念行事が行われている。しかし真言宗開祖空海の産みの親、御母・玉依御前については未だ多く語られず、ベールに包まれたままである。この聖母・玉依御前とは、いかなる女性なのか。玉依姫の貴人としての玉依御前は日本神話等に記される神霊の依代となる巫女を指し、霊魂(タマ)の依(憑りつく)霊的存在であり、海神の娘、水の女神ともされている。御前はかつて神仏混淆時代に現在の多度津町白方にある八幡山三角寺・仏母院の建つ地に住居を設け、同地内の産土神社、現・熊手八幡宮に安産祈願のために詣でたと言われている。古代風習によれば現在の海岸寺屏風ヶ浦の浜辺に産土小屋を設け、子供の誕生を海の彼方の常世神に祈っていたと思われる。「ある時、玉依姫はインドから飛翔してきた聖人が懐に入る夢を見て懐妊し、空海が誕生した」という誕生霊瑞が「弘法大師行状絵巻」に語られている。この話は巫女としての玉依姫が憑依して、海人の子を身籠るという日本神話とも呼応する。明治の神仏分離政策で熊手神社と仏母院は分けられ、かつて神社にあった貴重な遺物は大日如来を本尊とする仏母院に移され、玉依御前の御母堂には御母像、不動明王、弘法大師像がならぶ。また御母堂の側には空海の胞衣を祀った御堂、また御前が別館を設け遊覧したという地に現在建つ海岸寺には空海誕生の際に用いられたという石製の産湯盥が保存されている。玉依御前が授かった子は真魚と呼ばれ、この幼名は釈迦がかつて<魚の王>として生まれていたという仏教説話とも関係するものではないかと思う。海岸寺の浜辺に立つと穏やかな空と海が広がる。空海という名もまたこの浜に立つと啓示のように聞こえてくる。海と水に結びついた玉依御前の霊性と風光明媚な瀬戸の自然が真魚少年の魂を深淵なる真言密教の教えに導いたであろうことに疑念を覚えない。今回(2023年)、空海生誕1250年にあたり「空海の母の里」の特別企画「玉依御前をうたふ」をとおして空海の母への想いを皆様と分かち会えれば幸いです。
土取利行:2023年6月24日 「真魚・空海の母 玉依御前をうたふ」コンサートに記す。

■大師の御母公、誠に此の浦の風景を愛し給うにより海岸に別館を構え時々ご遊覧ありて、波による玉藻を愛して、岸に生うる松陰にやすらひ給う。(海岸寺縁起より)

■収録曲
1. 玉依御前のうた(4分01秒)

■演奏
歌:松田美緒
作詞・作曲・演奏:土取利行

■録音:庵谷文博
■版画:小島伸吾
■ジャケットデザイン:米澤敬

■プロフィール

【松田美緒】
18歳でポルトガルのファドに自己表現の形を見いだし、20代で本場リスボンに留学したことをきっかけに、世界各地を旅する音楽活動を続ける。ポルトガル語やスペイン語など六ヶ国語を操りながら、各地で息づくリズムを吸収し、地域の魂が宿った歌を拾い上げ、それを独自の表現にしていく活動は「歌う旅人」と称され、国内外の著名ミュージシャンからも支持されている。リスボンからカーボ・ヴェルデ、ブラジルへ至る大西洋の音楽地図を描いたリオデジャネイロ録音の1stアルバム『アトランティカ』で2005年ビクターよりデビュー。以降、数えきれない旅をしながら、南米や欧州のアーティストと共演・制作を重ねる。2012年からは知られざる日本の歌を掘り起こす活動をはじめ、2014年に『クレオール・ニッポン うたの記憶を旅する』を発表。土取利行とのアルバムに『水霊の歌』『ブラジル移民の歌』がある。

【土取利行】
1950年、香川県生まれ。1970年代から、ミルフォード・グレイブス、スティーブ・レイシー、デレク・ベイリーといったフリージャズの演奏家たちと共演を重ねる。1976年、ピーター・ブルックの劇団との仕事をはじめ、以降、『Ubu』『鳥の会議』『マハーバーラタ』『テンペスト』『ハムレットの悲劇』『驚愕の谷』などの音楽を手掛ける。世界中で民族音楽を学び、1980年代に桃山晴衣と岐阜の郡上八幡に拠点「立光学舎」を創立、日本の伝統文化再生にも取り組む。10年以上に渡り、日本音楽の古層を調査し、その成果を『銅鐸』『磬石(サヌカイト)』『縄文鼓』などのCDアルバムとしてリリース。最近では、フランスの洞窟壁画の音楽調査と演奏を行っている他、近代の流行歌の元祖、添田唖蝉坊演歌の研究・継承者としても活躍。

レーベル

立光学舎