説明
「本気で作られた音楽って、そのバックグラウンドなど何も知らなくても、ちょっと聞いただけで鷲掴みにされてしまいます。
ブルーズ心あふれるアルバムですが、主人公のクリスティーヌ・サレム(声は絶対に男に思われる!)はインド洋のレユニオン島の人です。
どこの音楽とも言えないほど色々な要素が入っていて、とにかくカッコいい。こんな新鮮なルーツ・ミュージックは久しぶりです。」(ピーター・バラカン)
★インド洋に浮かぶ真珠、レユニオン島の伝統音楽マロヤのカリスマ・ミュージシャン!
彼女の並外れた声で歌われるマロヤには、鋼のように強靱なブルース・スピリッツが宿っている。
★クリスティーヌ・サレムはダイヤモンドのような意志を持ち、妥協することを知らない、
反抗精神の持ち主であり、常に自由を求めるミュージシャンなのだ。
★クリスティーヌ・サレムの音楽を表現するとしたら、”マロヤ・ブルーズ”という言葉が相応しい。4年ぶりとなるこのアルバムでは、日本にも何度も来日しているモリアーティーとの出会いが色濃く反映されている。今回もローズマリー・スタンドリーがゲスト歌手で参加(⑩)している。
★さらにセブ・マルテルというメインストリームからアヴァン・ギャルドまで活動している強力なギタリストとの出会いが(サリフ・ケイタ、ブンチェロ、フェミ・クティらと共演)、彼女の音楽をよりブルージィーに、そして自由なサウンドへと変化させている。
★今回のアルバムで彼女は初めてギターも弾いているが、アルコール依存症による暴力について歌っている②では、セブのヴァーサタイルなギターと相まって、マロヤならではのトランス感も備え、ヴァレリー・ジェーンを彷彿とさせる。ネルソン・マンデラに捧げられた④ではクリスティーヌらしいマロヤ・ナンバーに、セブのフリーキーでノイジーなギターが絡むという新境地。神への祈りがテーマになっている⑤ではメリスマティックなヴォーカルとヴァイオリンの対比が面白い。様々な要素が混じり合った、レユニオンのアイデンティティともなっているクレオールである事を歌っている⑥でのトランス感覚。レユニオンのマロヤが、アメリカ南部に迷い込んでしまったかのような⑨、ヘヴィーなビートが心地良いダンス・ナンバーの⑪、HIVについて歌われている⑫でもセブのギターが効いている。そしてアルバム最後には、ジャム・セッション的ナンバーが収められている。
■収録曲目:
1. ママ、ドント・ギヴ・アップ
2. タペ
3. あきらめたくない
4. マンデラ
5. ボンディエ
6. マランゲ
7. アルコール
8. ロリロラ
9. あきらめない
10.ラブ
11. ワレ
12. ダダ
13. Jup
【クリスティーヌ・サレム Christine Salem】
クリスティーヌが生まれ育ったレユニオンの主都サン=ドニ郊外は、ドラッグがはびこるようなスラム街だった。8歳の時に伝説的グループ、ジスカカンのライヴを観て雷に打たれ、12歳の時に初めて英語歌詞のブルース調の曲を作曲した。やがてストリートで仲間達とセガやマロヤなどを演奏し始め、30歳の時に自らのグループとなるサレム・トラディションを結成した。2000年にファースト・アルバムの”WALIINA”を発表。これまでにソロ名義も含めて5枚のアルバムを発表している。そのブルージィーで圧倒的な存在感を持つヴォーカルの素晴らしさはもちろんのこと、自らカヤンブ、ルーレーといったマロヤのパーカッションを演奏。またライヴでのコミカルな動きも含めたパフォーマンスも人気だ。2012年には、音楽活動に専念するためにソーシャル・ワーカーとしての仕事を辞めている。ヨーロッパや南アフリカ、さらにはニューヨークなどでもライヴを行っていて、高い評価を得ている。今回の『あきらめないで』は4年ぶり6枚目のアルバムとなる。