説明
ぎろ、と読む。
その語源はラテン音楽で頻用される打楽器だがバンドの音楽性に深く関わるものではなく、命名の由縁は単に語感によるものだったという。
97年にトリオ編成にて活動を開始。当初かなりゆっくりとしたペースを守っていたが、03年シングルCDの制作を始めたところから変化が起きはじめる。
04年Fishmansトリビュートアルバム「Sweet Dreams for Fishmans」に参加。特異なアレンジを施した収録曲が話題となる。05年初旬、青柳、西本(共に現Ett)の脱退、亀田の就学により(同年12月復帰)再びトリオ編成になるもその身軽さが逆に功を奏し、堰を切ったように活発にライブを行うようになりバンドとしての肉体性を得て現在に至る。発売された音源こそ少ないが(シングル4作+前述Fishmansのみ)、複雑なメロディーやアンサンブルがポップに収束するその音楽性に熱心なファンを持つ。黙々と音楽に向き合い、長い活動期間を経て生まれた楽曲がようやくファーストアルバムに結実する。
GUIRO is
■高倉一修 : vocals,guitars,percussion,D-550,SH-202,三味線,etc.
■松石ゲル : drums,percussion,chorus,etc.
■亀田暁彦 : piano,Arp 2600,fender rhodes,etc.
■厚海義朗 : electric bass,acoustic bass,chorus,etc.
Guests
■西本さゆり(Ett/coup label) : chorus on 1,6,8,9,12
■青柳努(KEI/Ett/coup label) : electric guitar on 6,8,12
■竹内絵美 : chorus on 2,5
■長瀬敬(カタリカタリ) : clarinet,cajon,chorus on 13
■松井和美 : voices on 2
1. あれかしの歌
2. 墜落という名のジャム
3. 風邪をひいたら
4. 目覚めた鳥
5. ファソラティ
6. いそしぎ
7. ゆれる太陽
8. 山猫
9. エチカ
10. しあげをごろうじろ
11. 新世界より
12. ハッシャバイ
13. 日曜日のチポラ
GUIROの曲は、どれもイントロの出だし一瞬で素晴らしい。たとえばローリング・ストーンズの「サティスファクション」のような、誰もがすぐにそれとわかるキャッチーさを放つイントロとは、ほど遠い。むしろ、その真逆。頼りなく、ただ何となくつま弾き始めたようなメロディが多い。にもかかわらず、その音の業は驚くほど深い。そして、シティ・ポップのセンスと、ローカル・フォークの骨太と、ブラジル音楽のポリリズムと、ジャズの野蛮と、日本語をしゃべる日本人であることの美学と、そのすべてを複雑かつユニークなバンド・サウンドに絡み合わせながら、ずぶずぶと聴き手の中に踏み込んでゆく。
2003年に初めてGUIROの音源(手作りの8センチCDだった!)として制作された「あれかしの歌」から4年。入手できる音源は4枚の8センチCDのみ。地元の名古屋を中心に、ひそかにひそかに伝わっていった、そのさりげない衝撃が、こうして一枚のアルバムになった。
オムニバスCD『7586(ナゴヤロック)』に収録され、GUIROの名を高めるきっかけになった革命的な名曲「ハッシャバイ」も含む全13曲。90年代から21世紀に過去の音楽を浴びるほど聴いてしまった世代の人間は、未来が袋小路かもしれないことを本能的に感じ取ってしまい、ポップであることをおびえながら拒否しようとさえする。しかし、GUIROならきっとそこを抜け出せると、このアルバムを聴いたあとには思うことができるだろう。音楽を自分の血肉にきちんと消化してきた者だけが選べる脱出方法を、ゆっくりと、しかし、直感的にしっかりとつかみとる。その握る力の強さに、聴く者はドキリとする。そういう確かなものが、GUIROには必ずあるのだ。だから、奇跡は思いがけず起こる。
そのつま弾きを止めるな。口ずさむように、歌い続けろ。そこに永遠への突破口が見える。
松永良平 (ハイファイ・レコード・ストア/リズム&ペンシル)
その昔「あれかしの歌」を始めて聴いたときのフレッシュな感動は忘れられないです。それ以降スロー・ペースでありましたが、待ち遠しい思いで待たされた新作にはいつもノックアウトされてしまうのでした。
そして待望のフル・アルバム。もう申すことありません! 耳をそばだてさせるこの奥ゆかしさと大胆さ。なんだろう、どこかブラジル新世代と同質なものを感じました。あえて、新し物好きにではなくて、古いもの好きにお薦めしたい新世代ジャパニーズ・ポップス。
鈴木 望/ノアルイズ・マーロン・タイツ
GUIROを漫画に例えると、ペンギン村に突如タイムスリップ(漂流)してきた小学校でペストが大流行。パニックに陥る子供たち。そんなとき偶然、村を通りがかった顔に縫い目のある天才医師。喫茶店でコーヒーを飲む天才医師。夕日にまどろむ天才医師。壁のカレンダーは2007年9月。続く・・・
大橋裕之/漫画家
彼の音楽には境目が無いように思える
はっきりしないのだ
なんだかもやもやしたかたちに出来ないものであふれている
でも何とかかたちになっている
にじみ出る何かにあふれている
これは彼と彼らの途中経過の貴重な美しい記録だ
梶田真二/coffee Kajita店主
利益なんか考えないで、がっつり仕入れてじっくり売りたい日本のアーティストにようやく出会えた!と初めて思ったのは、ギロの音楽をひょんなことから聴いた時。その時に感じた、忘れられないひんやりとした空気が、温かく、濃く、心地良くなった。
音楽の神様はときどきえこひいきをする。嫉妬と憧れをもってギロのファースト・アルバムを迎えます。
最高だよこんなの!!!!!!!!!!
阿部広野/ノアルイズ・レコード
https://www.10po.com/guiro/index.html
下記よりmyspaceへ。