説明
旅するシンガー・ソングライター、”自由人”フレッドが描くリアル・ワールド! アフリカへの共鳴、ブルーズの香り、卓越したギター…この「風変わり」で「スパイスの効いた」音楽はまさにワン・アンド・オンリー!
ニーナ・シモンで知られる”PLAIN GOLD RING”そして
ポリスの大ヒット曲”EVERY LITTLE THING SHE DOES IS MAGIC”のカヴァーをボーナストラックとして収録!
ニール・ヤングとサリフ・ケイタとジョン・リー・フッカーが、
一緒にジャム・セッションして、
どこか想像上の国で作られたかのようなサウンド。
その伸びやかで、憂いを帯びたヴォーカルと、
マリの首都バマコでのセッションで得た、刺激的な伝統弦楽器とのミックス。
フレッドの音楽は、とても「風変わり」だ。5年振りに発売されたこのアルバムの1曲目、アルバム・タイトルでもある「俺の種子」を聞いた時の印象は、まさにそれだった。「びよ〜ん」と口琴のような音色に、ぐるぐるとフレーズを繰り返すギターに、マリの弦楽器カマレ・ンゴニが切り込んでくる。そして、フレッドの憂いを帯びた力強いヴォーカルが曲を引っ張っていく。
もしかすると、最初に聞こえるギターのような音色もカマレ・ンゴニかも知れない。カマレ・ンゴニは、瓢箪を半切りして牛か羊の皮を張り、ギターのネックのように棒を差し左右3本ずつの弦を張ったハープ系の楽器で両手で演奏する。そんな伝統的な弦楽器が、ギターやベースといった楽器に混じって使われている。それもカマレ・ンゴニ独特の弾けるような、フレーズをループさせる特徴を生かしながらだ。そして2曲目の「ペテン師」のイントロなどは、まるでマリの音楽のように聞こえる。この不思議な感覚は他では味わったことがない。
今回の新譜ではプロデューサーのジャン・ラムートの存在が大きい。90年代のフランスを代表するロック・グループのノワール・デジールや、最近作のサリフ・ケイタのプロデュースなどで知られるラムートだが、今回のプロデュースもフレッド本人の強い希望によるものだったらしい。その結果マリのバマコでのセッションをはじめ、サイモン・エドワーズやマーティン・バーカーといったイギリス・コネクションの参加も実現した。
フレッドはその経歴において、「旅」が重要な位置を占めている。20代半ばでのアルゼンチンへの旅が一番重要だったようだが、フランスを飛び出し、旅の中から自分を見つめ直し、自分の音楽のスタイルを作り上げてきた。「俺の種子」の後半には、クレオール語の歌詞の部分があったりするし、フランス語で歌われていることを忘れてしまうほど、いわゆるフランスのポップ・ミュージックとは異なる音楽性、個性の持ち主だ。
フランスのメディアが彼の音楽を語る時に、「既成概念を壊す」「自由人」「旅人」「渡り鳥」といった言葉で表現していることからも、彼の個性がいかに異色かがうかがえる。
テテは幼い頃にアフリカ(セネガル)からフランスに移民してきて、デラシネ(根なし草)であることや、様々な差別をバネに自分なりのスタイルを作り上げて来たが、フレッドは逆にフランスを離れることで、オリジナルなものを掴んだと言えるかも知れない。
Youtubeで見ることの出来るフレッドのライヴは(”FRED+MES GRAINES”で検索して下さい)、一人もしくはドラムスを従えての二人編成といったシンプルなものが多い。身軽な方が、いろいろなところでライヴをこなせると言う利点もあるが、自分のギターから生み出すことの出来るグルーヴに自信がなければ、そう簡単に出来ることではない。
これからもフレッドの旅は続くだろうし、それによってフレッドの音楽も変化し続けるはずだ。アウト・オヴ・スタンダードな男、「自由」で有り続けることの難しさを肌で感じ、それを表現する術(=音楽)を知っている男。フレッドの面白さは、そこにある。聞き手にも、旅に出ようと誘っているのだ。
1. 俺の種子
2. ペテン師
3. 釣り針
4. 自分をさらけ出して
5. 俺の人格の経済学
6. お前とお前の猫
7. 俺の国
8. 小さいフランス人
9. 豪雨
10. 放棄する
11. ウォッチング
12. メランコリックな気分
13. 自分をさらけ出して(ボーナス・ヴァージョン)
14. プレイン・ゴールド・リング(ボーナス・トラック)
15. エヴリィ・リトル・シング・シー・ダズ・イズ・マジック(ボーナス・トラック)