説明
1970年代初頭から地道に歌いつづけてきた対馬在住の唄うたい・古藤只充の記念すべき第一作。
歌とギター、ほんのすこしのストリングスを加えただけのシンプルで静謐な唄世界は聴くものの心を深く捉えてはなさない。言葉の一つひとつにこの唄うたいが過ごしてきたいくつもの夜が重ねられ、言葉を運ぶ息遣いはいま・ここに・生まれ・起こりつつある同時代の諸相と内奧の葛藤劇を訥々と物語る。深さを湛えながら澄みわたる紺碧の海のごとき清冽な唄の佇まい。季節はずれのコオロギに自らの唄うたい半生を仮託して丹念に綴られた同時代ノート。「いま、唄に何ができるか」そのささやかな回答がこのディスクのなかにある。2019作品
収録曲:
1.コオロギ
2.海辺のワルツ
3.まだ日も暮れないうちから
4.魚たちの見た夢
5.ツバメの親子
6.やむを得ぬ夜
7.どこかで誰かが
8.鳥はどこで死ぬのかな
9.人は忘れたふりをして
10.十二月のコオロギ
11.流れ星
12.小さなお前の一日に
古藤只充(ことう・ただみつ)
1951年、長崎県対馬市に生まれる。1971年より関西を中心にライブ活動をスタート。70年代初頭に今は伝説の大阪中崎町の喫茶店「ろうじい」を共同経営しながら音楽活動を続ける。この時期に知り合ったミュージシャンは、ひがしのひとし、田中研二、山本シン、古川豪、みやさとひろし、シバ、友部正人、チチ松村(GONTITI)などなど。80年代半ばで音楽と決別して故郷の対馬へ帰り介護の世界へ、2013年、サラリーマン生活に別れを告げライブ活動を再開。現在、故郷の対馬で配偶者、2匹の猫に囲まれつつ曲を作る日々。