説明
レナ・サーカス。
1999年に結成された、パリを拠点とする実験的音楽グループ。
グループ結成当時から舞踏のパフォーマンスを筆頭にライブペインティングやシネマコンサートといった音楽以外の分野の現代美術との共演を行い、フランスのアンダーグラウンドシーンで好評を博す。
アルバム『時の在処』は、レナ・サーカスの音楽と、舞踏の分野にて音楽活動を展開する小宮広子の音世界との共振により生まれる。
トリオが繰り広げる音の波動に、小宮広子の音言語である小さなベル、石、サヌカイト、竹、水、砂、貝がらといった様々なもので奏でられる自然音と、彼女のプリミティブなボイスがアクセントを与える。
1. Ephemeral Fish
2. Sertao
3. Yugamu,kagamu,chijimu
4. Pantograph
5. Eggbox
6. Uneri
7. Oitekibori
member
Guillaume Arbonville ギヨーム・アルボンヴィル : ドラム
Antoine Letellier アントワン・ルテリエ : ギター、ウクレレ、フルート
Nicolas Moulin ニコラ・ムーラン : ギター
Hiroko Komiya 小宮広子 : ボイス、パーカッション
ヨーロッパでのアルバム評
「時の在処」というアルバムは、音楽・ダンス・ペインティング・ 詩・彫刻のような様々な芸術の中で最も表現主義的である身体感を持っている。それゆえに、このアルバムは音楽の分野を超越している。
ミュージシャン間のエネルギーの交流は、微細なバイブレーションを生み、その波動は私たちにまで及ぶ。
一曲目からこのアルバムは稀にみる繊細な緊張感を醸し出す。曲頭から背景に聞こえるこの微細なエレクトリックギターラインと、リズムとも言えぬリズムを打ちだす打楽器群によって、この音楽は強烈な存在感を放つ。空中に浮遊する小宮広子のボイスは霊妙なメロディの跡を残す。
今年聞いたアルバムで最も美しかっただけでなく、今まで聞いてきた音楽の中でベスト格に位置する。極めて重要なアルバムである。
フランソワ・ユベール Francois Hubert,
2008年11月12日
フリージャズのスタイルを取りながらバイオレンスではない。
躍動し ながら発散されるこの音楽は催眠的な表情をもちながら、時に激しいインパクトを与えその両極の旋律が聞き手の脳髄に螺旋を描かせる。
小宮広子が重ねる音色は、シュールレアリスティックな色彩をこのアルバムに与える。
彼女は貝を手の中で擦り合わせ、きしませ、チベタンボールを叩き、また共鳴させる。
繊維をしわくちゃにした猫のような音。鼠、あるいはオウムの音を糸のきしみで表現する。
濃厚な音質は常に官能的であり、複雑さを持つ情景を創り上げる。
マーティン・B Marteen B, Mille Feuille.