説明
「もしジミ・ヘンドリックスがワールド・ミュージックの時代まで生きていたら意外にこんな音楽を作っていたかも知れない、そんな気がします。」( ピーター・バラカン)
ジミヘンのDNAが西アフリカのマリに舞い降りていた!2010年6月1日に49歳の若さで急逝してしまったロビ・トラオレ。自らの出自であるバンバラのリズムを取り入れた、アーシーでグルーヴ感溢れるブルーズ・サウンドの強烈さは、一度聴いたら忘れられない。
2007年と08年に、マリの首都バマコのクラブでライヴ録音されたエレクトリック・ブルーズ・サウンドは、まるでジミヘンが乗りうつったかのよう!
リズム・ギター、ベース、ドラム、ジェンベ、バラフォンを従え、様々なエフェクターを効かせたロビのギターは、まさに、凄いの一言!!!
ロビ・トラオレはニジェール河沿いの都市セグー近郊の村で1961年に生まれた。マリの主要民族であるバンバラ出身の彼は、バンバラのリズムを取り入れながら、独自のギター・スタイルを作り出した。それは「バンバラ・ブルーズ」と呼ばれ、1990年代からはヨーロッパでアルバムを次々にリリース。特に1994年にリリースした”Bamako”はアリ・ファルカ・トゥーレのプロデュースで高い評価を得た。しかしヨーロッパなど国外でツアーすることは希で、首都バマコのナイト・クラブで演奏し続けた。最近ではアクースティック・ギターをメインにした録音が多かったが、彼の本当の魅力は、やはりファズボックス・ペダルやフィードバックなどエフェクターを使用したエレクトリック・ギター・スタイルだ。
このアルバムはアメリカのKANAGA SYSTEM KRUSHというフェアトレードをポリシーにしたレコード・レーベルが、2007年と08年にバマコのエスパス・アカデミーとホテルの中庭でライヴ録音(観客はいない)したセッションから9曲を収録。ライヴ録音ならではの臨場感と、バンドと一体となったグルーヴ感が、彼のエレクトリック・ブルーズ・サウンドを際立たせている。
特にベースのラミネ・スマノとのコンビネーションは抜群で、このアルバムの白眉とも言える「ジャマ」[4]では、伝統的パーカッションのリズムをベースが刻み、ロビの語りかけるようなヴォーカル、そして鋭く、うねるようなフレーズを次々とくりだすギターは圧倒的な存在感を持っている。ジミヘンがマリで甦った!と思わずにはいられない。6月1日にバマコで原因不明の突然死でこの世を去ってしまったロビ。彼のギターの音色とフレーズが、こうしてCDに残されたことを喜びたい。
なおこのCDには10曲目(トラックナンバーとしては12曲目)にシークレット・トラックが収録されています。
日本語解説:各務美紀
1. マコノ
2. バナン・ニ
3. サヤ
4. ジャマ
5. マリ・バ
6. ダ・ヨロ
7. ビ・ドンガ・ファ・コ
8. マヤ・ガシ・カ・ボン
9. ヤ・ティメ