説明
約10年ぶりとなる待望の新作は全曲GuitarとのDuoアルバム。
オープンリール・テープレコーダーを使用した、フル・アナロク一発録り。
デジタル録音による修正、編集が当たり前の現在にあって、あえてありのままの自然な自分を聴いて欲しいという思いが結実した作品。
収録曲
1. Morning Star (W.C.Handy / Mack David)
2. They Can’t Take That Away From Me (George Gershwin / Ira Gershwin)
3. ‘S Wonderful (George Gershwin / Ira Gershwin)
4. Everything Must Change (Bernard Ighner)
5. One Note Samba (Antonio Carlos Jobim)
6. Someone To Light Up My Life (Carlos Jobim / Gene Lees)
7. Love For Sale (Cole Porter)
8. People (Jule Styne / Bob Merrill)
9. All Of You (Cole Porter)
10. Blame It On My Youth (Oscar Levant / Edward Heyman)
11. Matchmaker (Jerry Bock / Sheldon Harnick)
12. Since I fell for you (Buddy Johnson)
Recorded at MOCKORY HILL STUDIO, June 1-5, 2012
73年のデビューアルバム『アンフォゲタブル』から変わらない安定感で素晴らしいボーカルを聴かせてくれる中本マリ。今作は、前作から約10年振りとなる新作で先頃再発盤も出た名ギタリスト「宮之上貴昭氏」に師事している若手ギタリスト太田雄二との完全デュオ。
個人的にも70年代のアルバムから聴いているが、その当時よりクオリティの高さには驚かされっぱなしである。デビューより、カバーを多くしてきたが、とにかく原曲の良さを殺さず、アレンジされた楽曲に中本マリのボーカルが乗ることで与えられる新しい息吹は、たちまちその名曲が如何に名曲かを再認識させてくれるほどで、これは、楽曲の良さもさることながら、ボーカルあってのものだと次第に感じてきた。
冒頭から終始この特徴的な気だるく気持ちよいボーカルが聴ける。今作は特にギターとのデュオ作ということもあり、それぞれが際立ち、主張することで溶け合い、この誰もが知る楽曲を永遠のものだと認識させてくれる。
更に個人的に言えば、ガーシュインの曲の中でも「They can’t take that away from me」をカバーしている日本人はそんなに多くないと思うが、これは海外では様々なカバーがあり、その中でもそれらと同等以上に素晴らしい作品になっている。そもそもこの曲をカバーすること自体が素晴らしいのだが。また、ジョビンの「ワン・ノート・サンバ」なども「~風」になることなくオリジナリティを発揮した素晴らしいアレンジで、実は難しいこの楽曲もサラッと唄いこなしている辺り、流石、としか言いようがない。ボーカルとギターのデュオというのはシンプルでいて、最も表現として難しい手法の一つであると思うが、それを感じさせない素晴らしいボーカリーズをじっくり聴いて頂きたい!
中本マリ
1947年3月26日宮城県仙台市生まれ。
3歳からピアノとクラシック・バレエを学び、10歳からは東北児童合唱団に所属。
1962年 上京し、東邦音楽大学付属高校声楽科に入学。在学中からポピュラー・シンガーとしてプロ活動を開始。
1970年 本格的なジャズ・ヴォーカリストに転向。
1973年 デビュー・アルバム『アンフォゲダブル』を発表。
1978年 スイングジャーナル誌の読者人気投票で、ヴォーカル部門の第一位に選出され、以降8年連続でポールウィナーとなる。
1979年 発表の『アフロディーテの祈り』で同誌ジャズ・ディスク大賞特別賞を受賞。これを期にスイス・モントルー・ジャズ祭に2年連続で出演。
以降レコーディングはもとより、ラジオのパーソナリティも務める。
1985年 水島早苗賞第一回グランプリに輝く。
1990年 オール・ジャパン・ジャズ・エイドの発起人となる。
1991年 アルバム『ヴォイス』でスイングジャーナル誌ジャズディスク大賞日本ヴォーカル賞を受賞。
1992年 同誌の読者人気投票で6年ぶりに通算9回目のポールウィナーとなる。
1995年 阪神淡路大震災のチャリティー・コンサートの発起人となる。
レジー・ワークマン・トリオと全国ツアーを行い、同トリオでアルバム『サマータイム』を録音。
1996年 シダー・ウォルトンらとニューヨークでアルバム『ホワット・イズ・ラブ?』を録音。
2003年 名手達との円熟のデュオパフォーマンスが堪能できるアルバム『NADECICO』を発表。
太田雄二
1982年4月6日生まれ。O型。多摩育ち。
13歳の時にヴァン・ヘイレンに憧れギターを始める。
18歳ごろ友人の影響でジャズに興味を持ち、同時にジャズギタリストの宮之上貴昭氏に師事。
同氏の元で5年間、ジャズの研究をし、卒業後は宮之上ジャズギター道場の講師も務める。
2004年の横浜ジャズプロムナードコンペティションではソリストとして洗足学園音楽大学賞を受賞。
2008年、同コンペで、自己のオルガントリオ”NO2”にてジャズクラブ賞を受賞。
また同年、UZU recordsより”First Album”を発表。