説明
■武下和平と双璧をなす伝説の唄者、絶頂期のライヴ2枚組。
勝島徳郎は、奄美では武下和平と双璧をなす偉大な唄者として知られています。1921年、奄美大島南部・瀬戸内町の古志(こし)という集落の生まれ。唄者だった母親の影響を受けて幼い頃からシマ唄を覚え、小学生の頃には早くも三線をマスターして神童ぶりを発揮していました。また20歳の頃には管鈍(くだどん)という集落に住んでいた伝説の唄者・節甚太郎に師事して「ちぎょいはまだけ」など、忘れられて歌われなくなったシマ唄を受け継ぎ、奄美の将来のためシマ唄の伝承に意欲を燃やすようになります。現在、結婚式など奄美の祝いの席で必ず歌われる「朝顔節」という唄も勝島徳郎が掘り起こしてレコードに吹き込んでから一般に広まったのでした。
その勝島徳郎が唄者として円熟期に入った1981年と1987年のライヴ音源を掘り起こし、2枚組CDとしたのが本作『島語れ』です。CD1は1981年、奄美大島・瀬戸内町の古仁屋小学校体育館におけるライヴ音源。体育館の落成記念に呼ばれた際のライヴで、音源に起因するノイズをものともせず、歌声の素晴らしさ、巧みな三線のワザを楽しむことができます。CD2は1987年、尼崎労働福祉会館におけるライヴ。舞台歴40周年を記念して催された公演で、会場を埋めつくした観客も全員が奄美出身者(注1)。勝島徳郎もシマグチと呼ばれる奄美の方言でMCをしながら、リラックスしたステージを展開。十八番の「ちぎょいはまだけ」「くばぬ葉節」に加えて、今ではほとんど歌われない「ばいどこ節」など、貴重なシマ唄も収録されています。
(注1)現在、尼崎を中心とする関西エリアには3世、4世を含めて約30万人の奄美系住民が暮らしていると言われています。これに対して奄美諸島の人口は約14万5千人で減少傾向が続いています。
勝島徳郎 1921-2003
大正10年(1921)9月15日、奄美大島瀬戸内町古志生まれ。幼少の頃から唄者として知られた母ウトマツの唄を聞いて育ち、小学6年の頃には自ら三線を弾くようになった。20歳の頃、管鈍の唄者・節甚太郎に師事。また妻の母親が名うての唄者だったこともあり、彼女から宇検村マナーの古いシマ唄を数多く学んだ。「ちぎょいはまだけ」「くばぬ葉節」など埋もれていたシマ唄を発掘し、レコードに吹き込んで世に広めたことでも評価されている。30代になって消防署に勤務するため古仁屋に移住、そこで福島幸義氏や武下和平氏と交流を重ね、唄者として全島に名を馳せた。1977年、文化庁主催の芸術祭特別公演に出演。1980年、『奄美民謡・勝島徳郎傑作集』をセントラル楽器より発表、同年『勝島徳郎・伊都子名演集』をクラウン・レコードより発表した。2003年1月5日没。
勝島伊都子
奄美大島・瀬戸内町古志生まれ。6歳の頃から父・徳郎のもとでシマ唄を習得、12歳で父と共に尼崎に移り住み、《徳郎節》と呼ばれる独特の節回しを受け継いだ。現在は自ら経営する店「来るだんど」(尼崎市杭瀬)で歌い続ける傍ら、祝い座など様々な機会に招かれてシマ唄を歌い続けている。
disk.1
01. 朝顔節
02. 俊良主節
03. くばぬ葉節
04. 太陽ぬ落てぃまぐれ
05. 塩道長浜節
06. 雨ぐれ
07. 長雲節
08. まんこい節
09. ヨイスラ節
10. ちぎょいはまだけ
11. 山と与路島
12. イェトゥ
13. あさばな節
14. 俊良主節
15. 塩道長浜節
disk.2
01. M.C.1
02. 朝顔節
03. あさばな節
04. 俊良主節
05. M.C.2
06. 黒だんど
07. ちぎょいはまだけ
08. くばぬ葉節
09. 飯米取り節
10. ばいどこ節
11. 側家戸節
12. 太陽ぬ落てぃまぐれ
13. イェトゥ