松田美緒 土取利行
Água de Tom e Som(水霊のうた)

¥2,200 (税込)

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説明

世界を旅する異能の音楽家二人による奇跡のジョイントを収めた一枚!
ポルトガル語・スペイン語圏の国々で歌手活動を積み重ねてきた“歌う旅人”松田美緒と、フリージャズドラマーとしても知られ、近年は添田唖蝉坊・知道の作品にも取り組んでいる土取利行による初の共作!
1トラックのみ25分強に及ぶ演奏は、泉の水のように次から次へと溢れ出す松田美緒の歌と、
それに生き生きと呼応する土取利行のカマレンゴニ(マリの撥弦楽器)が、
濃密なアフリカン・ブラジリアン・ソングの即興編成歌を紡ぎ出しています。

■TrackList:
1. An improvisation by the waterside with songs in a medley of memory」
~アフリカン・ブラジリアン即興編成歌~(25:53)
(メドレー:
ムシマ(心)Muxima
我が息子ゼーカMonami Zeca
コロニアルKolonial
シドラリアCidralia
誰に泳ぎを習ったのQuem Te Ensinou a Nadar
田舎の列車Trenzinho do Caipira
ンビリ・ンビリMbiri Mbiri
水の母神オシュンMamae Oxum)

■演奏:
松田美緒(ヴォーカル)
土取利行(カマレンゴニ)

<ライナーノーツより>
松田美緒の歌はこれまでになく即興性に満ち、美しく輝いていた。
2017年郡上八幡音楽祭に招聘する西アフリカ、マリの音楽家たちと共演するため、初めて彼女が唄うポルトガル語圏のアンゴラやブラジルのクレオールソングのリハーサルに臨んだ日だった。私はこれら未知の歌にマリの撥弦楽器カマレンゴニの即興演奏で対応した。序奏が始まるやいなや、彼女の声はどこからともなく沸き立った。心の中に宿っていたいくつもの歌が、渾渾と湧き出す泉の水のように切れ目なく緩急自在に流れ出し、やがてそれらの歌は変化を繰り返しながら大河のようにひとつながりとなり、再び源流へと還っていった。この歌の流れに、私のカマレンゴニを奏する指は踊り出し、歌い出し、呼応していた。初めての、たった一回だけの未知のジョイントが、一編のドラマのような、活き活きとした混成歌を綴る結果となった。
この奇跡ともいえるジョイントの痕跡は、幸いリハーサルのために用意していたテープに収められた。
私たちはこの淀みない清い音の流れに手を加えることなく、そのままをCDとして残すことした。
(土取利行)

ある夜、水のほとりの聖域で、音が巡り、巡った。
土取さんのカマレンゴニは古代の吟遊詩人が奏でた響きのように、感覚の中枢を目覚めさせる。
水の流れ、炎の煌めき、星々の巡行のような音の連なりにのって、私の舌はいつしか歌を紡いだ。
それは、リスボンでアンゴラの労働者が夜な夜な歌っていた故郷の歌、ブラジルのミナスで教わった童謡、ナイジェリアからバイーアへ渡った水の女神オシュンへの讃歌。
そして、数々の未知のことばと、時空のはざまからとりだしたメロディー、歌のかけらたちがシランダ(輪舞)を踊る。境界は消え去り、ひそやかな恍惚とした音の巡りは、清流と響きあい、湧き出す som (音)、tom (色)。
歌の生命は、雫のように震えて、しじまに溶けた。
(松田美緒)

【プロフィール】
■松田美緒(マツダ ミオ)
土地と人々に息づく音楽のルーツを魂と身体で吸収し表現する”現代の吟遊詩人”。その声には彼女が旅した様々な地域の魂が宿っている。大西洋をテーマにブラジルで録音した『アトランティカ』で2005年にビクターよりデビューし、以来ポルトガル、ブラジル、ウルグアイ、アルゼンチン、ベネズエラ、ペルー、カーボヴェルデなどポルトガル語・スペイン語圏の国々で、現地を代表する数々のミュージシャンと共演、アルバム制作を重ねる。2014年、3年がかりのライブとフィールドワークの集大成として初のCDブック『クレオール・ニッポン うたの記憶を旅する』を発表。ブラジル・ハワイ移民の歌を含め、日本各地の忘れられた歌を現代に瑞々しく蘇らせた作品は高い反響を呼び、文藝春秋「日本を代表する女性120人」に選ばれる。第2回ヘテロトピア文学賞特別賞を受賞。2016年、1年以上かけて日本全国、パラオで撮影された日本テレビ系列のドキュメンタリー『NNNドキュメント’16 ニッポンのうた “歌う旅人”松田美緒とたどる日本の記憶』 が放映され、同作は2017年度・坂田記念ジャーナリズム賞を受賞。4月にはギリシャ・ポルトガル録音の新作『ELA』を発表。土取利行と郡上八幡にて2016年に初共演。

■土取利行(ツチトリ トシユキ)
70年代よりフリージャズドラマーとして近藤等則、坂本龍一などと活躍。75年から渡米渡欧しミルフォード・グレイブス、デレク・ベイリー、スティーヴ・レイシーなど即興演奏のパイオニアとコンサート、レコーディング。76年ピーター・ブルック国際劇団に音楽監督・演奏家として参加し、今日まで『マハーバーラタ』『テンペスト』『ハムレット』など多くの作品を手がける。アフリカ・アジアに民族音楽、芸能の調査に出かけ、多くの民族楽器や舞踊を学ぶ。87年、故桃山晴衣と岐阜郡上八幡に芸能堂立光学舎を設立し、数々のプロデュース公演を企画し出演。また「銅鐸」「サヌカイト」「縄文鼓」など日本の古代音楽の研究・演奏を手がけ、さらに人類の音楽の起源を探求すべくフランスの壁画洞窟を調査し、演奏。桃山晴衣の逝去後、彼女が最後の弟子として添田知道から直接習っていた本流演歌の研究・演奏に従事、添田唖蝉坊・知道の作品をCDで発表。著書に『縄文の音』『螺旋の腕』『壁画洞窟の音』『音の神秘』(訳本)。『軟骨的抵抗者・演歌の祖・添田唖蝉坊を語る』(鎌田慧共著)。CD多数、2017年エヴァン・パーカー、ウィリアム・パーカーとのライヴコンサートをCD化。2017年からブルック劇団で『バトルフィールド』世界巡業中。

レーベル

立光学舎